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2005年8月10日
vol.27「時の味」

毎年、この時期は、庭の雑草を刈り取る大仕事があるのです。
大して広くもない裏庭ですが、結構、珍しいバラを集めて育てているので、
手入れを怠ることができません。
雑草はどこにそんな生命力があるのかと思うほどどんどん成長し、
ほんの3週間放っておくとたちまち地面が見えないほど繁茂してしまいます。

ですから、梅雨明けから夏の終わりまで、
最低でも3、4回は庭を這いずり回って夏草を抜くことになります。
ふと気がつくと、雑草を握りしめ、力いっぱい抜いている自分の姿を
脳裏に焼き付けている自分がいました。
滴り落ちる額の汗をタオルでぬぐっている自分自身を自分自身が見つめているのです。
多分、つい先ごろまで、そんな自分を意識したことはありません。
ただ、早く炎熱の草むしりから解放されたくて、
際限なく生えてくる雑草を呪いつつ作業に没頭していたに違いありません。
それがどうでしょう。
今回は「ああ、自分は今、こうして草むしりをしているのだなあ」という思いが
こみ上げてきました。

そうするとなぜか、そんな自分の姿がとてもいとおしく、
流れていく時間が色濃く感じられたのです。
同じ時期の同じ作業。そして、同じ時間の流れ。
毎年何一つ変わりのない季節の風物も、感じ方が違ってくるのです。
年齢とともに時間の味に変化が起こるのです。

若い時からかなり一生懸命働いたお蔭で、ここまで来て、
ようやく自分の「時の味」を味わうことができるようになったのでしょうか。
「年々歳々花相似たり、歳々年々人同じからず」と劉廷芝の漢詩にありますが、
同じ時空を生きながら感慨は、また、人それぞれに変わっていくようです。
晴れ渡る夏空に向かって両腕を高くかざし、
「私は今ここにいる」と心の声を強く宙に放った午後でした。

あなたの「時の味」はいかがでしょうか。