- 2016年12月22日
- vol.28「タロット占いと童女たち」ステラ・ボンボヤージュ
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去る12月の初めに、
定期開催が恒例となっている鑑定会に出向いた。
場所は江東区は砂町銀座の真ん中に位置する
砂町文化センター。
砂町銀座はシャッター商店街が羨むような
活気のあるにぎやかな通りだ。
奇しくも江東区にはルネ師匠が眠るお墓があり、
なんとなく不思議な縁を感じる。鑑定会はセンター内にある広々とした和室で行われる。
出演するのは、一般社団法人日本占術協会、
そして有宵会の有志の先生方である。
無料鑑定会ということもあり、
たまたま通りかかった人が
ふらりと立ち寄れる気軽さが功を奏してか、
毎回150人近く多数の来場者に恵まれるイベントである。午前10時からスタートすると
途切れることなく相談者が訪れる。
15時半を回った頃だろうか、
最後の最後に6~8才の童女3人組が
興味深そうに近づいてきた。明らかにリーダータイプの子は、
ホロスコープを見るとやはり牡羊座で、
月と火星が双子座で重なっていた。
ジッとしていられず好奇心が爆発している感じだ。案の定、その子は占い道具のタロットカードに興味を示したので、
「将来の仕事の夢が叶うか」という質問に1枚引きをさせてみた。
出たのは「ペンタクルの8」、なかなかいいカードだ。
「こつこつ頑張れば必ずその仕事ができるよ」と言うと、
とても嬉しそうにでも恥ずかしそうに微笑んだ。すると、双子座の月と火星に火がついたのだろうか、
そこから78枚すべてのカード1枚1枚の意味を
まくしたてるようにたずねてきた。
しかも、ものすごいスピードで……
まるで千本ノックを受けている感覚に陥った……。
この子たちが最後のお客さんでよかった……。
やはり好奇心が爆発したのだろうか、
ひと通りカードの意味がわかると、満足したようだった。
でも、すぐに忘れてしまうだろう、なぜなら双子座だから……。
(双子座にケンカを売っているわけではありません)3人の中で最年少と思われるおとなしそうな女の子は、
「家族が元気ですごせますか」と何とも愛らしい質問をしてきた。
1枚カードを引いてみると……
こともあろうに真っ黒な「塔」が出てしまった。
その絵柄を見るや否や、
彼女の顔から期待に満ちた笑顔がさーっと消えて、
涙をこらえきれず泣き出してしまった……。これは責任重大!
こちらも必死にフォローの言葉を並べると、
少しずつ笑顔が戻ってきた。
完全に「タロットは怖い」という印象を
植え付けてしまったに違いない……。
子供ならではの純粋無垢な感性にかかっては、
テキストでカードの意味を覚えることは無意味なのだろう。
実際に、カードの意味なぞまったく知らなくても、
敏感にカードの人物と対話ができるのだ。「なに?このカードは?」と
キャッキャッ喜んだり不思議がったりしていると、
女の子たちの祖父らしき男性が呼びに来て、
嵐が過ぎ去るように山積みのカードを残して行ってしまった。
カードもまた、彼女たちの心の中を
風のようにすり抜けて行ったようだ。