- 2020年6月28日
- vol.70「アマビエ」月影沙織
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「当年より6ヶ年の間は諸国で豊作がつづく。
しかし同時に疫病が流行するから、
私の姿を書き写した絵を人々に見せよ」
とアマビエなるものが出現して告げた。これは江戸後期に作成された瓦版に書かれたもの。
「ゲゲゲの鬼太郎」で知られる水木しげる氏は
ご自身が作成された「水木しげるの続・妖怪辞典」にて、
少し手を加えて、このアマビエを紹介している。西洋では海の生物にはすべて予知能力があるとされ、
人魚が予言を告げる伝承も多く残っているため、
このアマビエもその類だろうと水木氏は綴っている。確かにアマビエは人魚や半魚人の風貌に似ている。
西洋でも、この日本でも海の不思議な生物が
似た形で表現されている点は興味深い。この存在が知られるようになったのは、
Twitterにて、妖怪掛け軸専門店「大蛇堂」が2月下旬に
コロナ収束の願掛けを呼びかけたことにより、
一気に広まったそう。この姿を多くの人が目にしたせいか、
今現在(2020年6月下旬)、緊急事態宣言は解除され、
都道府県をまたいでの移動が許される状態になっている。
もちろん油断はできないし、まだ感染者はいなくなっていない。しかもこれはあくまで国内情勢で、
世界に目を向ければ色々な状態の国々がある。全体的には感染は増え続けている。
世界でもアマビエは拡散されているという。
この姿に力があるというのなら、
もっと広まってほしいところだ。私は海の生物ではないが、
少々未来予知をする者として言うならば、
7月からはコロナが発生し拡散していった時と似た星回りが戻ってくる。そういった点では不安が大きい。
油断してならないだろう。いや、またさらに多くの人が苦しめられる状況が起きそうだ。
しかし、拡散し始めたころと違うのは、
他に戦おうとする惑星があるということだ。そのころと全く同じ星の配置ではないということだ。
すでに人類が「経験した」いや「経験している最中」という事実も大きいだろう。
12中旬以降には、また大きく星回りが変わる。
アマビエが必要とされる星回りではないと思うが、
アマビエに変わる何かが必要とされる星回りではある。しかし、そのようなものが拡散されることがないように祈りたい。
アマビエを見るのは今年限り……と、
ツキカゲは希望をこめて予言をしておくこととしよう。「肥後国海中の怪(アマビエの図)」(京都大学附属図書館所蔵、写真は同館提供)
疫病の流行を予言するとされる妖怪、アマビエ。コロナ禍が続く中、独特の味わい深い風貌でSNS(交流サイト)を中心に人気に火が付いた。拡散した画像の原典は江戸後期の瓦版。この史料が兵庫県立歴史博物館(姫路市)で6月23日に始まる「驚異と怪異」展に出品される。コロナ禍以降、初めての展示だ。
瓦版は1846年製作の「肥後国海中の怪(アマビエの図)」(京都大学附属図書館所蔵)。それによると熊本県の海中に毎夜光るものがあり、役人が確かめるとアマビエが出現。これから6年間豊作が続いた後に疫病が流行するので自分の姿を写して人々に見せるようにと告げ、海中に消えたという。描かれた姿はロングヘアの人魚のようであり、口はクチバシ状で目や耳はひし形。江戸時代とは思えない特異な造形センスに加え、ゆるい外見に似合わぬ切実なメッセージがコロナ禍に苦しむ現代人の心に刺さったのだろう。自分好みにアレンジしたアマビエのイラストをSNSなどに投稿する人は後を絶たない。
同館の香川雅信学芸課長は妖怪研究が専門。「予言する妖怪の絵姿で疫病から逃れるという話は江戸時代の定型的な伝承」だと言う。アマビエ以前にも美女の顔に竜の体の「神社姫」、人間の顔に牛の体の「クダベ」などの記録が残る。アマビエはこの系譜に連なるが「『アマビエ』の名を伝える史料は瓦版1点のみ。本来は『アマビコ』という3本足の猿でした」。救いを求める人々がこぞって描き写すうちに人魚のような姿に変貌したアマビコ。その進化はコロナ禍の現代においてなお続いている。
今展は想像上の生き物たちを描いた絵画など約250点を展示する。8月16日まで。「アマビエ」の出品期間は未定。
(田村広済)