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2020年8月28日
vol.72「冥王星の大鎌」朝風かおる

冥王星は破壊と再生を司る星。
社会構造(土星)を変えるため、
構造や人の都合を忖度しない「破壊」。
どんなに手を尽くしても人知を超える災害は存在し、
その前では無力なのだと思い知る。
そして元通りに振る舞える日が戻っても、
変わる前とは常識や価値観が少しずつ違ってくる、
「再生」した世界。

その象徴するものは、
まるでタロットカードの「死神」のようだと思います。
(実際の占星術とタロットの照応では、
冥王星は審判と対応していますが)

今年1月にその存在が発表され、いまだ猛威を振るう新型コロナウィルス。
このウィルスのために、世界の人々の生活は大きく変わってしまいました。

その感染の特徴からマスク着用が呼びかけられ、
何らかの施設に行けば消毒をし、対面での食事は禁止。
他にも大規模感染を防ぐために集まりが中止になり、
外出自粛が呼びかけられたり。
人が動くとウィルスも移動するという観点から、
テレワークという働き方が注目を浴びたりもしましたね。

大切に思う人ほど、感染させないために近づかない。
リアルに会わない。
手で身体に触れない。
好むと好まざるとに関わらず、それがマナーとして呼びかけられています。
もしウィルスが終息してもこの習慣が根付けば、
今後は大切なひとの外食、握手やハグは
愛情や親愛の最大級の表現へと変化するのかもしれません。

急激に窮屈になった生活環境、
変化したくなくても変わらざるを得ない人の意識や生活様式、
大切な人にほど近づけない矛盾の中に、
私は冥王星の威力を見た気がしました。

トランス・サタニアンの天体達は、
一般的には土星を作る環境(現在の社会構造)を乗り越えたり、
壊したりするなどして影響力を発揮すると言われています。
「ウィルスによる影響」と考えると、
象徴としては海王星のほうが適切かなと思うのですが、
全世界の経済活動を止めてしまうほどの苛烈さは
冥王星の影響の仕方かなと思います。
ちなみに天王星は突発的に、海王星は浸潤するように、
そして冥王星は人知の及ばないような災害で人の活動を止め、
土星の世界を脅かすのです。

事実、新型コロナウィルスが新規感染症として
WHOから発表された時期を前後して、
2019年12月に木星が山羊座に入宮し、
2020年1月に土星と冥王星が山羊座にて正確な合を形成しています。
これが影響しているのではと考えるのは、穿ち過ぎでしょうか。

しかし冥王星は再生も司ります。
「再生」は「復活」ではないので完全な元通りはありません。
しかし、災禍を乗り越える過程で得た知恵や教訓を踏まえて、
未来を進もうとする力です。
ちょうど台風で枝の折れたバラが、
折れた状態のまま上へと伸びゆこうとするように。

タロットの死神もまた、逆位置では再生を意味するとされます。
死が席巻した後は日が昇り、闇は決して続かない。

今の状況は永遠ではない。
それを信じ、今できることをして、
希望を持って過ごしたいと思っています。