- 2021年3月28日
- vol.79「ルネ・ヴァン・ダール・ワタナベとのロンドン旅行」ジョアンナ・リリス
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桜の花が美しく咲き乱れる素敵な季節ですね。
この時期になると思い出されるのが、師である、
ルネ・ヴァン・ダール・ワタナベのバースディパーティ。
毎年開催されるパーティはとても煌びやかであり、
師の華麗なタンゴにはとても魅了されました。師の明るく魅力的な人柄のせいもあり、会場には多くの方が集い、
毎回心に残る素敵な時間を過ごすことができました。師と私が出会ってからもう長い年月が経ち、
他にも思い出は数えきれないくらいたくさんあります。
その中でも特に鮮明な印象があるのは、
師と弟子仲間で出かけたロンドン旅行です。
当時の私は今以上にミステリアスな分野に関心があり、
世界遺産であるストーンヘンジを観たり、
珍しいタロットカードを購入できるかもと、
期待に胸を膨らませていました。実際に訪れたロンドンは予想以上に素敵で、
占星術の専門店で美しいホロスコープの用紙を見つけたり、
もちろんレアなタロットカードも購入することができました。何もない平原に突然現れたストーンヘンジからは、
神秘的なパワーを感じましたし、
ここが魔女術発祥の地ということもあり、
とても感銘を受けました。そして、最終日前日に立ち寄ったアンティークな印象の金物屋、
そこで出会った美しく繊細な飾り斧に
私は一目惚れしてしまったのです。月の形をした先端部分には美しい装飾が施されており、
思わず後先のことを考えず衝動買いをしてしまいました。
しかし、ホテルに持ち帰ったところ、
その斧はかなり大きくスーツケースにも入りません。
仕方なく、スーツケースの周りにガムテープで
ぐるぐる巻きに縛り付ける方法を取りました。持ち運ぶ方法はクリアできたものの、問題はこの後でした。
帰路途中の税関に立ち寄るたびに、
税関の方々に『それはだ何だ』と呼び止められ、
その度に、師は流暢な英語で
『これはインテリアで、危ないものではない』と
丁寧に説明してくれました。師には大変ご迷惑をおかけして申し訳なかったです。
その時の飾り斧は今も大事に、
占いをする部屋に飾ってあります。こうして、師のおかげで持ち帰れた斧を見るたび、
師の優しさ、暖かさを思い出し、胸がいっぱいになります。もっともっとたくさんお話がしたかった。
けれど占いの世界に導いてくれた師は
私の先生であると同時に父のような存在で、
そんな師に巡り合えて本当に自分は幸せだったと、
心から思います。