- 2023年6月29日
- vol.102「ものがたりを大切に」加賀宮萌
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「風の時代」を迎えて、今までの常識や価値観にとらわれることなく、
もっと自由に、柔軟に生きていこう、と言われるようになりました。でも「自由にどうぞ」と言われると、かえって生きづらくなる、
ということも、あると思います。
決められた枠や順序のもとで生きるのは、
余計なことを考えずに済み、効率的でもあり。
また、その枠や順序のおかげで、ある程度の個人差が是正され、
「それらに助けられていた 人」もいたはず。
私たちには不自由さに守られている側面も、あるのかもしれません。さあ、これからは自由に、自己責任で、自分で選んで、実行していきましょう!
となれば、みずから「私のものがたり」「私の神話」を作っていくことになります。
しかし、これがまた難しい作業でして、“私が”つくったものがたりには、
親の理想や学生時代の思い出、自己啓発セミナーの講師の教え、
……などがギューッと押し込まれていて、本人はそれらを
「私が、私のためにつくった、オリジナルのものがたりです」
と信じていることが多いからです。
そもそも、他人の影響を受けずに人格形成をするのは不可能ですから、
剥いて剥いて最後に残った玉ねぎの芯のように、
「本当の自分」がそこにあるはず、と信じることさえ、
幻想なのかもしれませんね。だけれども、それを承知で、
では、ホロスコープという舞台の上で、自分が主人公の、
その主人公がとても幸せになるストーリーを、自分でつくってみよう。
そのストーリーが途切れたときは紡ぎ直して、
そのストーリーに無理があるときは修正して、
主人公である自分がどうしたら幸せになれるのか、
絶えず考えて、トライしていこう。
というのが、ルネの提唱した「ホロスコープ・カウンセリング」です。このホロスコープを使ったカウンセリングには、いくつか特徴があります。
生年月日から算出するホロスコープをもとに「私のものがたり」をつくるので、
これまでの自分自身をかたちづくった記憶情報とは別に、
「ホロスコープ」という新たな自分のルーツが人生設計に加わるという特徴です。また、その自分のホロスコープを介して、占術家と対話していく。
ふたりが相対する間にホロスコープがあり、それを創造の材料として、
ふたりで相談しながら
「これはもっと使ったほうがいいかもしれませんよ」
「この気持ちは今の自分では持て余してしまう、封印しておきます」
なんて話し合いながら、「未来の、幸せな私」をつくり上げていくのです。
完全な1対1ではなく、
あなたと占術家とホロスコープの三者の対話となり得るのも、
「ホロスコープ・カウンセリング」の面白い特徴です。そして近年、私は新たに気づきを得ました。
クライエントもホロスコープを読めるようになると、
この三者面談の三者の輪郭がより際立ち、
視点やスタンスに変化が見られる、ということです。
クライエントが、我がことであるにも関わらず、
きわめて客観的にホロスコープを読めるようになるので、
感覚としてはクライエントが「1.5人称」で語るようになります。
さらに、占星術という共通言語があるので、
クライエントと占術家の目線も、およそ同じ高さに保つことが可能です。
例えば人生相談だと、
自分よりうんと年下の相談員に生活指南をされたときに、
「経験もないあなたに言われても…」
なんて違和感を覚える時もありますが、
占星術の言語で交われば
「私はこう読みますが、あなたの星読みはどうですか?」
という前提なので、フラットな関係のまま話が進行しやすいです。星読みという共通言語を介してのカウンセリングは、
星を学ぶこと、占うこと、占われることが同時に実現するため、
従来のシンプルな占いとはまた違う効果や実感を得るのではないでしょうか。
これは弊社の人気企画である、
モナ・カサンドラ先生の「運命のプライベート・レッスン」や
「マイ・ホロスコープ徹底研究」の受講者の感想から得た手ごたえです。
個人的にはこのカウンセリングスタイルに、
近年やっとのことで修めた心理学で、
さらに肉付けをしたいと考えていますが、
それにはもっと多くの事例や体系の整理が必要です。
この新しい風の時代に、
ホロスコープのさらなる活用法を探っていこうと思います。